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他人の力で、人は幸せになれない。【映画:嫌われ松子の一生】

映画「嫌われ松子の一生」を観た。 本作は蜷川実香好きな女性にぜひぜひおすすめしたい。「さくらん」や「ヘルタースケルター」のように華々しくて、毒々しい。

 曲が良い

木村カエラ及川リン、AI、BONNIE PINK和田アキ子。どんどんテンポ良く出てくる。コントラストが高めなザラついた映像が、フィルムカメラのよう。冒頭の渋谷のシーン、2000年ってウルフヘアの女子高生がそこら辺にいて、女子高生やギャルを勧誘してくる悪い大人もたくさんいましたよね。メールが流行っていた時期です。今見ても奇妙な怖さがある。

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あんなに美しい中谷美紀が誰?って思うくらい可愛くない。(褒め言葉)

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ところどころミュージカルが入る。その設定はまちまちで、遊園地のように可愛かったり、女死刑囚として映画「シカゴ」のようにかっこよかったり。この飽きさせない展開と楽曲のおかげで、ストーリーは絶望的でも、重くなくどこか明るく見ることができる。

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真面目な性格の松子。真っ直ぐな性格ゆえか、松子は耐えきれない大きな出来事が1つあると、カッとなって当たるか、相手に頼りきってしまう。家族、上司、男。その対象はまちまちだ。でも本当はただ普通に生きて、幸せになりたいだけ。大きな夢があるわけでもない、良い意味で普通の女性だ。でも致命的な恋愛依存症なのだ。親友が本気で叱っても効果はない。

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他人の力で幸せになると、たったちょっとの出来事が地獄に変わりうる。途中で出てくる「人間の価値って人に何をしてもらったかじゃないよね。何をしてあげたかだよね。」というセリフ。一見、後者のように見える松子は前者なのだ。おひとり様女子も増えたし、独身も珍しくない現代。「恋愛依存症」という言葉でくくってしまったけれど、これが当たり前の時代だってあったのかもしれない。

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エンターテイメント性が高くて、悲しくも純愛が抜け落ちた日本版「ムーラン・ルージュ」みたいな「嫌われ松子の一生」。最後にアピールしたいところは、ちょい役のキャスト。若かりし頃の瑛太市川実日子伊勢谷友介柴崎コウスカパラ谷中敦江口のりこ蒼井そら、ゴリ、劇団ひとりクドカン……と有名人しか出てこない。もっともっといる。映画「モテキ」の大根仁監督のように、わたしのようなサブカル勢の心をくすぐる脇役ばかりである。

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1人でも楽しく生きる女性が増えた今だったら、松子はもう少し楽に生きられたのだろうか。やっぱり答えはわからないや。