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音が見えない花火、みんなで見よう【映画:万引き家族】

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わたしは家族の話をするのが好き。正確に言うと、聞くのが好き。その人の意外な一面が見えてくるからだ。片親だったり、兄弟の誰かが引きこもりだったりが当たり前。晩婚化が進んでいて、子どもがまだいないのも当たり前な我々世代は、どんな親世代と呼ばれるようになるのだろうか。脱線した!

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最初のシーンで、おばあちゃんの樹木希林が爪を切っていて、リリーフランキーが爪の破片に引っかかって「痛っ」って笑って。是枝監督が描く「生」ってなんで、こんなに胸をえぐるのだろうか。大枠を知っていても、この後の展開を思って胸が痛んだ。

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家族6人の演技も、嘘をつかない年相応の身体も演技も素晴らしかった。松岡茉優樹木希林に「なんで落ち込んでるって分かったの?わたしのことは何でも分かっちゃうんだねー!」って喜んだり、甘えたりするシーンはまるで恋人みたいだった。この映画は、誰かの頰が緩むシーンがとてつもなく可愛くて、切ない。

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万引きや犯罪がなければ出会ってすらなかった6人。お金で物は買えても、人との距離は買えないなぁとしみじみ。6人はなんとなく話しているときや、並んでいるときのパーソナルスペースが狭いのが印象的だった!そして、生活水準がまともになったって、一緒じゃなければ幸せじゃないのだ。

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お金を払えばVRだとか旅行だとか、色々なものを体験できる世の中だけど、絆もお金じゃ買えないんだよなぁ。海ではしゃぐシーンや、家から音しか聞こえない花火をみんなで見上げて「やっぱ見えないんだね〜」なんて言うシーン。みんな目がキラキラしていて、何よりも綺麗だった。このシーンは、世界的にも評価されたら嬉しいなぁと思った。

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ただ一個だけ、物申したいことがある。よく「お金ないね〜おいしいもの食べたいね〜」なんて言いながら一緒に安酒を飲む友達がいるのだけど、本当に現実世界で万引き家族にあたるような人たちは、こういう映画を観ない。ハリーポッターブレードランナーに心をときめかせて、現実を忘れるのだ。

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だから、わたしたちが本当に万引き家族のような人々を救いたいと思ったら、社会派の映画ばかりを観るとか、日本の現状を忘れないようにする、とかじゃないのだ。楽しいことを広める知識だとか、言葉や写真の腕だとかを磨いた方が良いのだと思う。自分も含めて、忘れないでおきたいなと思った。