2018年に観た106本から、おすすめ映画を。
noteユーザーのみなさんごきげんよう。
わたしもnote使うこともありますが、逆流にめげずはてなブログを更新していきたい所存です。
さて。2018年もたくさんの映画に出会うことができました。
中でも良かった作品をササーっと紹介していくので、休日に何を観ようか迷ったときはぜひ!
恥ずかしながら「カメラを止めるな」観ていないのですが、多分「お嬢さん」の方が騙される!
章が分かれていて、ぜんぶ騙される。ちょっとエログロですが、ぜひ金曜の深夜に観出して、興奮が冷めやらなくて寝れなかった、みたいな週末を過ごしてほしい。
泣けるし、手に汗握るし、たくさんの人のドラマが隠れていてグッと来た。夢に向かってがんばる気持ちを思い出させてくれます。
漫画「三月のライオン」が好きな人にもおすすめ。
・お酒を飲むことしか楽しみがない
・公園に咲く花に、いちいち感動できる女子がうらやましい
・散歩中のかわいい犬を見ても、自分とは別世界だな〜とどこか感じる
・通勤電車にイライラしかない
ひとつでも当てはまった人は観て欲しい。心がほっこほっこします。
わたし学生の頃って「プラダを着た悪魔」みたいに、明日からの仕事もがんばるぞー!って映画にいつも出会えれば良いのになぁ…って思ってたのね。
でもなかなか出会えなくて、観たけどつまらなかった…ってのもザラで。
そのときの自分に教えてあげたい、希望の映画です。
みんなが観たであろう「ボヘミアン・ラプソディ」しかり、「シェイプ・オブ・ウォーター」「スリー・ビルボード」は割愛。
わたしが最近の映画に思うことは「どれも楽しい」ってことです。
数年前までは、アメコミの待望の新作が期待外れだったり、映像がショボかったり…色々あったけれど、今はハリーポッターシリーズしかり、大作が公開されればたいてい面白い。
映像も音もめちゃ良い。
俳優の演技も上手い。
ミニシアターもあっという間に名作は、大きな映画館へ広がる。
良い時代だなぁとしみじみ思う今日この頃。
こんな感じで、2018年を締めくくり、2019年へと続きます。みなさん、また来年わたしと映画の話、いっぱいしませう。
この映画がキラキラして見えるのは、勇気のおかげ。【映画:恋は雨上がりのように】
本当に小松菜奈が好きなんです、わたし。
音が見えない花火、みんなで見よう【映画:万引き家族】
わたしは家族の話をするのが好き。正確に言うと、聞くのが好き。その人の意外な一面が見えてくるからだ。片親だったり、兄弟の誰かが引きこもりだったりが当たり前。晩婚化が進んでいて、子どもがまだいないのも当たり前な我々世代は、どんな親世代と呼ばれるようになるのだろうか。脱線した!
最初のシーンで、おばあちゃんの樹木希林が爪を切っていて、リリーフランキーが爪の破片に引っかかって「痛っ」って笑って。是枝監督が描く「生」ってなんで、こんなに胸をえぐるのだろうか。大枠を知っていても、この後の展開を思って胸が痛んだ。
家族6人の演技も、嘘をつかない年相応の身体も演技も素晴らしかった。松岡茉優が樹木希林に「なんで落ち込んでるって分かったの?わたしのことは何でも分かっちゃうんだねー!」って喜んだり、甘えたりするシーンはまるで恋人みたいだった。この映画は、誰かの頰が緩むシーンがとてつもなく可愛くて、切ない。
万引きや犯罪がなければ出会ってすらなかった6人。お金で物は買えても、人との距離は買えないなぁとしみじみ。6人はなんとなく話しているときや、並んでいるときのパーソナルスペースが狭いのが印象的だった!そして、生活水準がまともになったって、一緒じゃなければ幸せじゃないのだ。
お金を払えばVRだとか旅行だとか、色々なものを体験できる世の中だけど、絆もお金じゃ買えないんだよなぁ。海ではしゃぐシーンや、家から音しか聞こえない花火をみんなで見上げて「やっぱ見えないんだね〜」なんて言うシーン。みんな目がキラキラしていて、何よりも綺麗だった。このシーンは、世界的にも評価されたら嬉しいなぁと思った。
ただ一個だけ、物申したいことがある。よく「お金ないね〜おいしいもの食べたいね〜」なんて言いながら一緒に安酒を飲む友達がいるのだけど、本当に現実世界で万引き家族にあたるような人たちは、こういう映画を観ない。ハリーポッターやブレードランナーに心をときめかせて、現実を忘れるのだ。
だから、わたしたちが本当に万引き家族のような人々を救いたいと思ったら、社会派の映画ばかりを観るとか、日本の現状を忘れないようにする、とかじゃないのだ。楽しいことを広める知識だとか、言葉や写真の腕だとかを磨いた方が良いのだと思う。自分も含めて、忘れないでおきたいなと思った。
何一つ忘れない【映画:君の名前で僕を呼んで】
鑑賞後、街の雑踏の中でも、目を閉じると美しいイタリアの田舎とサラサラと流れていく音楽が浮かぶ。余韻に浸りまくれる映画ができた。「君の名前で僕を呼んで」である。
ゲームの「ぼくのなつやすみ」ってダラっと続くように見えて、意外と1日1日がスッと終わっていくしイベントもあるし、テンポ良いじゃないですか。本作もそういう世界。
ドンドン日めくりカレンダーみたいに、日にちが進んでいく。8月31日だけじゃなく、9月のような続きがあるところも良かった。夏休みって、どうしてこんなに美しいんだろう。
最初は休暇先にやってきたオリヴァーを受け入れられないエリオ。男女関係なしに気になる嫌いなアイツができて、どうしようもなく好きになってしまって……っていう、少女漫画顔負けのベタさ。だけど途中からはエリオと一緒に一喜一憂して見てしまった。同性愛者じゃなくても、辛い片思いがしたことない人だって、誰だってエリオに共感してしまう。それがこの映画の不思議だ。
オリヴァーに夜中に会おうって言われて、終始時計を気にしてしまうシーンがあるのだけど、待ち遠しくて仕方ない気持ち、分かります。痛いくらい分かるのだけど、痛いくらい忘れてしまっていて、思い出した。
映画のこうやって昔の感情を思い出させてくれるところが好きだ。
関係性ができてからはオリヴァーにフォーカスされていたり、エリオの彼女が良い子だったり、ラストにじんわり来たり……見応えが満載で、グッとくるシーンの連続。どの登場人物にもなんとなく感情移入できる。ネタバレになるから控えたいのと、みんな口を揃えて言うのが、お父さんが名言を残していきます。これね、きっと引っ込み思案でシャイな日本人に好まれる隠れ映画だと思うんだ。ぜひ観てみて。
「何一つ忘れない」と言うエリオ。君は恵まれてると肯定し、素直で弱さもあるエリオは不完全だからこそ良くてズルいなぁと思った。
わたしたちは「何一つ忘れない」って思う恋があったとしても、それを直接本人に言える人がどのくらいいるんだろうか。
恋だけじゃなくても、感動をストレートに、こんな完璧で言える人はどのくらいいるのだろうか。きっと数%しかいない。
重いって思われそうとか、変なプライドは捨てて、言葉をきちんと使うって大事だなぁとしみじみ。
辛い思い出とか失恋とか、無理に忘れる必要がない。大枠のラストは予告編やお察しの通り「一夏の恋」なんだけど、こんなに辛いなら恋しなければ良かった!とは思わない2人。「何一つ忘れない」って言われたらたまらないよね。悲しみも自分を作る要素として抱きしめていけたら。素敵な作品でした。
心臓の端まであったかくなった【映画:しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス】
学生時代、授業サボって唐突にBunkamuraで「わたしを離さないで」を観て泣いて、そこから1人映画の道が始まった。
2ヶ月に一度はあぁ、これ観たい!行きたい!と思ってるBunkamuraの映画館。この度8年ぶりに行きました。
8年ぶりのBunkamuraも変わらず、大号泣させてくれた。思い出深い映画館があるって素敵だなぁと思った。
サリー・ホーキンスと「シェイプ・オブ・ウォーター」が話題になる裏で、ひっそりと公開された本作。素朴だけど、心に染み込む良い映画。ぜひ大きなスクリーンで、寒々しいカナダの風景や、カントリーな音楽を感じて欲しい。
いや〜パディントン然り、サリー・ホーキンスの演技の幅広さに改めて驚いた。
そしてかっこよくないイーサン・ホークにも驚く。2人の演技とキャスティングだけでも、この映画は十分すごい。
「花より男子」のごとく仲良くない2人が距離を縮めていき、華やかじゃないけど、どこか楽しそうに歩くシーン(カットは毎回引いた構図)にキュンとした。そしてラストは大号泣。
もし誰かのことを嫌いになったとしても、思い出まで嫌いになる必要はない。むしろ思い出は大事にしてあげよう。2人がケンカするシーンや老いていく姿を見て、ぼんやりとそう思った。
素直すぎる主人公、不器用な旦那の2人を見ていると、ベタベタ甘々なのだけが愛じゃないなぁと。むしろ「ラ・ラ・ランド 」と同じく、言わなくてもどこか通じてる方が愛だ。
優しい作品でした。
人生スローペースだっていいじゃない【映画:ラッキー】
ちょっと前に試写会で映画「ラッキー」を観てきた。ミニシアター系、アップリンクの配給、王様のブランチの映画コーナーのミニシアター特集でLiLiCoさんが紹介するかどうかも怪しいレベルだ。
内容はというと、後から思い出してもじわじわ効いてくるような良い映画だった。スローペースで、オノナツメさんの漫画のようなアンニュイさが漂う。観る人によって響く部分はそれぞれ。映画「パリ・テキサス」で脚光を浴びたハリー・ディーン・ダンストンの遺作でもある。この映画の試写会の日、アカデミー賞映画のパブリックビューイングへ行き、メモリアル紹介(その年に亡くなった方への追悼)を見たばかりで、余計に鼻にツーンと来るものがあった。ちなみにデヴィッド・リンチがかなり良い役でしれっと出ている。
ストーリーはラッキーと呼ばれる90歳のおじいちゃんの田舎町の日常がつづられている。規則正しく置き、近所のカフェで朝ごはんを食べ、散歩し、クイズ番組を見て……っていう、うちのおばあちゃんと同じ感じ。ごめん、おばあちゃんもう他界しているんだけどさ。でもどこもご老人は規則正しく日課もあまり変わりないのでは。ラッキーの特徴というとちょっと口が悪い。そして代わり映えしない日常に見えるがちょっとずつ変化しているのだ。あんまり言うとネタバレになるのだけど。老人の1日は、確かに変化しているのだ。ラッキーは悪態もつくけど、子供みたいに素直な面がある。そこが可愛くて仕方ない。
みんなのお家とか、隣近所に頑固だけど可愛いじじいっていない?ラッキーがまさにそう。そして劇中のラッキーと同じく、ハリー・ディーン・ダンストンも第二次世界大戦に出征経験がある。この映画は登場人物がさりげなーく良いセリフをぽんっと吐いて残していく。あぁ、って思う場面が数度あるはず。映画ファンのおじいちゃん世代に好まれそうだけど、若い人にこそ見て欲しい。生きるって夢や希望を持って、意識高くバリバリ働くことだけが全てじゃないだろう。昨日を振り返ったり、明日を予想したり、お酒を飲んでいる瞬間を楽しんだり……そういうところに少しでも多く感動できる方が、きっと楽しい。
ラッキーは大爆笑とか大きく笑うことはないのだけど、だからこそ口元に笑みを浮かべたとき、思わず観ている方もにっこり笑顔になる。笑顔を押し付ける人よりも、愛想がない素直な人が見せるふとした笑顔につられるのと同じ。ハリー・ディーン・ダンストンはどんな気持ちでこの映画をクランプアップしたのだろうか。きっと大きな花束を受け取って、彼なりの笑顔を浮かべたに違いない。
目で見える形では分からない、本当の自分とは?【映画:シェイプ・オブ・ウォーター】
「スリー・ビルボードとシェイプ・オブ・ウォーター、どっちが面白かった?」と聞かれることがあるのですが、「上司ほんとムカつく!ころす〜〜!」と怒りの湧いた火曜日は前者、上司ころす気力も湧かないくらい落ち込んで、はぁ……ってため息出ちゃう水曜日は後者がおすすめです。
「シェイプ・オブ・ウォーター」、アカデミー賞おめでとうございます。監督賞を獲ると作品賞を獲らないジンクスが続いていたからこそ、連覇できてなんだか嬉しかったです。
今年のアカデミー賞は例年と違って、既に公開されている&受賞後に観られるのがポイント。毎年まだかまだかと待ち構えたのと違い、本作と「スリー・ビルボード」は今映画館で観られるし、「ダンケルク」は面白そうだから観た!なんて人も多いはず。
ちなみに東京国際映画祭で「シェイプ・オブ・ウォーター」「スリー・ビルボード」はそっこーでチケット完売で、前者は"大衆ウケしない暗そうな映画じゃない?"、後者は"この監督知らないしなぁ…"って見くびってました。やはり評価される作品には理由があるんだなぁ〜!ここからは見どころを。
公開初日、満員御礼
3月1日、映画の日でサービスデーとはいえ、平日なのに満員。しかもお昼の回。初めて土日以外の公開初日に行ったのだけど、若い人も年配の人もいて、わたしはそれがなんだか嬉しかった。映画は高いっちゃ高いし、NetflixやAmazonプライムでいっぱい作品観られるけれど、こうやって自分みたいに新作を楽しみにしている映画ファンが多くて嬉しかった!
水の奥底にいるみたいに暗い画面
予告編からも分かる通り、暗い暗い。使われてる色、灰色とブルーだけなんじゃないの?と思うくらいの暗さ。主人公のイライザが恋をし出したら、ちょっとずつハッピーになって象徴するかのように赤のアイテムが取り入れられるんだけど……それにしても、後半まで2色かよ!って思っちゃうよね。
ティム・バートン映画をよく"ダーク・ファンタジー"って呼ぶけど、花とか咲いてるし、衣装も可愛いし、本作と比べたら雲泥の差。イライザと半魚人は言葉が喋れない。イライザを優しく見守る同僚と優しい隣人は、幸運の持ち主とは言えない。職場は格差があり、上は常に下に厳しい。 だからこそ暗闇に浮かぶ光や言葉、テーマソング(作曲賞受賞)が際立って美しく感じるのだ。
ハッピーエンドかバッドエンドか?
物語の最初は、「リトル・マーメイド」のアリエルのお部屋みたいに、水に包まれたお部屋が登場し、隣人の印象的な言葉から始まる。
『もし私がそれについて話したとしたら。そうしたとしたらね。あなたに何を語ったであろうか?考えてしまう。時代について語ったであろうか?ずっと昔に起こった事…そんな気もする。麗しのお姫様が存命だった最後の日…あるいは、場所について語っただろうか?小さな海岸のそばの町だが、そのほかは全てが遠くにある…あるいは、どうだろう。彼女の事をあなたに語っただろうか?声を持たないお姫様のことを。あるいは、多分、私はただあなたに、これら事実の、愛と喪失の物語の、その真実について警告だけしたであろうか?そして、すべてそれを破壊しようとした怪物のことを。』と始まる。もうこの部分だけで美しすぎて脚本賞をあげたいゲット・アウト。
ギレルモ・デル・トロ監督は幼い頃に見た、最後に半魚人が殺されてしまう映画が不憫で、実は生きててヒロインとハッピーエンドでした!という妄想を漫画にしていたと言う。えぇ、じゃあバッドエンドなはずなくない?でもこの冒頭だと……と終始ラストが気になりながら観た。正解はぜひ本編で確かめてみてほしい。
「本当の自分とは何か?」
言葉にするとシンプル。だけどこの映画のポイント。イライザが途中で「本当の自分って何?」と感情剥き出しで訴えるシーンが出てくる。人から見えている自分は、外見含め一部であって、本当の自分は自分しか知らない。メキシコ人のギレルモ・デル・トロ監督だからこそ、より多くの人に響くメッセージだ。この映画、未来のわたしたちはどんな目線で見ているのだろうか。国境や差別を超えられている世の中であってほしい。